この記事の内容はあくまで私個人の考えであり所属企業の方針とは関係ありません
…という自己陶酔肯定感の高さが滲んで普段は嫌悪している前置きをして。
この文章は、理想とする組織には人手が足りず、採用予算とヘッドカウントに限りがあり、優先度に基づいて必要なポジションを埋めていかねばならず、早く採りたい気持ちと妥協したくない気持ちの間で圧迫されている、(私のような)現場の面接担当者に向けたものである。
危険信号を自覚する
エンジニア職の採用候補者との面談や面接をいくつもこなす中で、とても優秀な人と予期せず出会うことがある。輝かしい職歴に確かな技術、明瞭な受け答えと人当たりの良さ、きっと多くの会社がこの人を欲しがるだろう。こんな人には滅多に出会えない、他社に取られたくない、と思う。この人がうちに貢献できることはたくさんある、どこの部署で何をしてもらおう、と考え始める。
この時点で、すでに危険信号である。
その優秀な採用候補者というレアポケモンに自分が心を躍らせているのは、以前から自分たちが必要として探し求めていたからか?それとも、突然レアなのが目の前に現れて捕まえたくなってるだけか?どちらに当てはまるのかを冷静に客観的に理解する必要がある。
現場のチームの中でどの守備位置を補強したいのか、その候補者はどんな能力を持っていないといけないか、つまり採用のペルソナと呼ばれるようなものをきちんと高い解像度で理解していることが何より大事。そのためには前提として現場のチームとそれを構成する各個人の状況を把握すること、組織としての強みと弱点がそれぞれどこにあるのかを知っていることが必須。そこをきちんと理解したうえで、チームに必要な補強というのが、複雑な新機能を高度に設計できる人を採ることなのか、既存のコードをバリバリ改善できる人を採ることなのかを考えなければならない。
しかしながら、過去から現在までの職場での採用活動を思い返しても、「経験xxx年くらいで年収xxx万くらいのxxxエンジニアを採る」しか掲げられていないことも多かった。ペルソナの解像度が十分に高い状態で進む採用活動は、例えちょっと優秀でタイミングが合えばぜひ欲しいな〜と思う人と出会ったとしても、「でもこの人の能力は今自分たちが最も必要とするものではない」と自信を持ってお見送りすることができる。逆にペルソナの理解が粗い状態では、「この人優秀そうで取り逃がすともったいないから本当に必要な人かわからないけどとりあえず通過させる」方向に力が働く。自分たちにあるニーズとの不一致に確証を持てないから。
まとめると、自分たちが本当に必要としている像を高い解像度で理解していないと、優秀そうなやつを何でもかんでも採る方向に力がかかりやすい、ということに自覚的になり、そうならないために現場感を磨き続ける必要があるということ。
この話を他人に説明するときに使ってる例え
- 強そうだからリザードン捕まえたけど、実は現場はみずタイプのジムを攻略しようとしていて、ピカチュウが欲しかった。リザードンは役に立たなかった。モンスターボールもなくなった。
- 年俸の高さでしかサッカー選手を評価できない監督が、チームの弱点すら把握しておらず、またゴールキーパーを連れてきた。
- お前優秀なビジネスマンが採用候補者として現れるたびに採って新規事業始めるのか?
逆に
私が求職者側としてカジュアル面談を受けるとき、必ず「いま現場を構成してるメンバーはそれぞれどういう強みを持っていて、どこに弱点があるのか」「この採用活動を通じて新しく入るメンバーに期待する能力や振る舞いはなにか」を聞くようにしている。それに対して私の経験や得意分野と一致するようなことを言ってくれたら選考受けてみようかなと思うし、なんかほにゃほにゃしてたり私の得意領域と違うことをバシッと言われたりすると、今回は縁なかったなと思う。